雑談

メニュー情報

・メニュー
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56

 
d駄文
座談
「どうして、先輩の時間は停滞しているんでしょうか?」 「……黒さん」 淳司は弱々しく史記に向かって問う。 「これを物語だとすれば……私達五人の中に呼応者、つまり、妖精に願いを叶えられた者がいるんですよね?」 亜季の確認に史記はゆっくりと頷く。 「そうですよね。では最後の質問です」 亜季は待っていたとばかりに最後の言葉を放った。 「最初の二月十三日に私達五人の願い、『時間が止まれば良い』という願望を聞いたのは、私達五人の登場人物を除けば、誰がいますか?」 「…………」 四人がその答えに眼を剥く。 それは一人しかいない。 目の前の、漆黒の人物。 「これだけの偶然が、一致すると、必然だと考えた方がしっくりくるんですけどね」 すると、彼女は頷き始めた。 「よかった……気付かれなければどうしようかと思っていたよ」 安堵したように彼女は息を一つついた。警戒するように総司と翔子が椅子から立ち上がる。 ジャックと亜季は隙をみせないように椅子に座ったまま史記に視線を向けている。 彼女が本当に妖精ならば、この世界では何でも出来るかもしれない。 亜季の推理が間違っていれば、妖精は五人を実力で排除するだろう。 緊張からか、五人の顔は石のように硬い。 「……では、貴方が妖精だと認めるんですね?」 史記はゆっくりと頷く。 「そうだよ。私が物語りを紡ぐ妖精。今回の現象を引き起こしている張本人だよ」 全く邪気のない笑みで彼女は答える。 「でも一つだけ聞かせて欲しいな。私がしらを切ったらそれまでだったはずなんだけど……もし、しらを切られていたらどうしてた?」 純粋に疑問に思っているようで、彼女は小首を傾げている。 「先輩が妖精ならそれはしないはずです。しらを切ると物語そのものが成立しません。これは私達が自らの心の傷と向かい合いながら、限りあるヒントを追っていって、先輩が妖精であることを発見する物語であるはずなんですから」 亜季の推理はこうだった。 仲間達との触れ合いを通じての傷の克服。 その先にある、この現象を引き起こしている人物の捜索。

copyright© 2005 HPテンプレート案内. All rights reserved.