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座談
確かに、この出来事が無かったら、俺はずっと非日常を望んでいたかもしれない、と淳司は思う。
確かに、この出来事が無かったら、私はずっと自分の弱さを認められなかったかもしれない、と亜季は思う。
「それが……残りの五十点すか?」
「いや。私がいつも紡ぐような物語なら百点満点だよ」
いつも紡ぐような?
「今回は……残念だけど、私の意志だけで物語を創作したんじゃないの」
とても哀しそうに彼女は語る。
「……他にも妖精がいるんですか?」
緊張した声で亜季は尋ねる。
だが史記は首を振る。
「妖精は私だけ……でもその人の意思は、この世界の根本を創り上げている。私はそれを送っているだけ」
送る?
「残りの五十点をどこまで高める事が出来るかは、君達次第」
五時のチャイムが鳴った時。
異変は、唐突に起こった。
「な……に……急に……」
亜季はそう言って机の上に倒れてしまう。
総司の膝から鮮やかに床に突っ伏した。
ジャックは椅子に座ったまま、顔を机に擦りつけている。
翔子もふらふらとした足取りで壁に当たった後、眠るようにその場に崩れ落ちた。
どういう訳か淳司も両膝を床に突いている。
体が、言う事を、聞かない。
何故か、急激に睡魔が、襲ってくる。
「なにを……した……」
「何もしてないよ。少なくとも私は」
史記は淡々と答える。
「いい、淳司君、私がこれから言う事を良く覚えておくんだよ」
彼女の姿はもはや黒としか淳司には認識出来ない。
「今回の物語は、特殊なの」
意識が、引きずり込まれていく。
「物語が、この世界だけで、終わっていないの」
……意識が……眠い……
「この世界が、消えたあとの行動如何によっては」
彼女はいとおしそうな口調で告げる。
「君達は、もっとも大切なものを、失ってしまう」
…………
「最後のヒントだよ」
…………
「願い叶えられし魂、天に召されし時、集う場に闇は現る。数多の苦難乗り越え、召されし魂、救いしは、月と太陽」
「もう意識がなくなっちゃったか」
彼が自分の話をどこまで聞くことが出来たか。
「もうそろそろ私の力も途絶えてしまうね」
見上げる空には天井はなく、時空が捻じ曲げられたかのごとく歪みが生じている。
「それまでに……は決意出来るかどうか……」
そして、黒霧史記は歩き出す。
「時間がないことだけは、教えておかないとね」
呟く彼女の声は彼方に消えていく。
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