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座談
「どうって……何を?」
史記の問いの意味がわからない淳司は怪訝な表情だ。
「時間がなくて、夢を諦めたりしたこと、もしくは、今、時間に追われているせいで、何かしら出来ない事、ない?」
真摯な彼女の問いに、真島君も真剣に考え出す。
「……授業がなけりゃ、もっと遊べるなぁ、と思う時はありますね」
「真剣に考えて出た答えがそれだけ?」
本から眼を離し、亜季が呆れ気味に呟く。
「……それだけって……これ、重要なことだぞ!」
「はいはい」
亜季は淳司の主張を全く受け入れていないようだが、
「真島君が言う事にも、一理あるね」
史記には思う所があるようだ。
「子どもの遊ぶ時間が減っているのは、社会の根源的な問題でもあるようだしね」
頷く史記を見て、淳司は誇らしげに胸を張っている。
「でも、あくまで子どもだけだけどね。今の社会は不況だから、大人は頑張らないと」
私達ももうすぐ社会人だし、と邪気の無い笑みを浮かべて史記はこの一言を付け加えた。それを聞いて淳司の笑い声も力無く窄んでいく。
「翔子ちゃんは何かそう言うのないかい?」
突然、総司が翔子の方を向いて尋ねる。「え?」
「なんかこう……時間があればなぁ、と思うこと、ない?」
「うん。そういうの、あるね」
翔子はわざとらしく言葉を濁す。
これだけは総司に知られる訳にはいかないというのは、この場にいる者なら総司以外全員知っている。
ただ、その濁し方が、慌てているようには見えないのは何故だろう。
「なんか、皆、時間に追われているんだね」
総司がそう言うと四つの溜息が吐き出された。
この状況を快く思ってないのは淳司だろう。こういう雰囲気は彼の得意とするところではないので、何か部屋の空気を変える妙案を捻り出そうと考えているようだ。
「そうだ!」
唐突に彼はそう叫んだ。
「黒さんはどうっすか?」
淳司は会心の表情で質問を史記に放つ。
「最近はそういうのないね。やるべきことはやっているし、時間に追われているなんて思う事はないね」
史記はさして考えるふうでもなく言う。
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